ビレイデバイスあれこれ
ジムでビレイデバイスを色々と試してみました。
左からグリグリ(最新)、クリックアップ、クリックアップ+、ATCパイロット、ATC。
以下は個人的な感想を多々含みます。
また基本はジムリード、外のスポーツルートをメインに考えています。
ジムではクリックアップを使い、外岩ではクリックアップ+を使っています。
グリグリは今回、新しく買い足したもので、ATCパイロットは友人のもので、ATCは懸垂下降で使うぐらいです。
他、グリグリ2を持っていますがこれは開拓の時に使っています。
まずジムと外でクリックアップとクリックアップ+を使い分けているのには理由はあまりなくて、
ジムの残置BOXにクリックアップは入れっぱなし、クリックアップ+も外岩ザックに入れっぱなしなので、その利便性のためです。
ジムだと本数を出すので少しでもセットのしやすいクリックアップを使っています。
前提として、自分はATCでのビレイはほぼしていませんし、ATCでのビレイもあまりされたくはないです。
外岩で一緒に行く友達はほぼATC以外のグリグリやクリックアップ、ATCパイロット等のブレーキアシスト付きデバイスです。
ジムではたまにATCでのビレイをされることもありますが、ビレイをして貰えていることの方がありがたいし、その友達のことは信頼をしているので、あまり気にしたことはありません。
回りを見ると外もジムもATCでビレイしている人が、思った以上に多いことにびっくりします。
最初はATCでのビレイを習うので当然と言えば当然だけど・・・。
自分の中ではなぜATCを使っているのかが疑問です。
(トラッドやマルチなどは支点にガツンという荷重を掛けないためにATCを積極的に使うみたい)
ATCってロープを送り出すのは楽です(=他のブレーキアシスト付きデバイスと比べて使い方が簡単)。
※ATCのロープの送り出しでクライマーが引っかかっているのはだいたい送り出しの手を上にめーいっぱいに上げてそのままクリップを待っている場合でこれを本当に良くみます。
※正しくは送り出しの手を下(ビレイデバイス付近)に戻すこと。それでクリップするときにロープが足りなければ少しだけロープを出す。
これが出来てない人がたくさんいてクライマーがクリップするときにつっかえているのを良く見かけます。
これはATCだけでなく他のデバイスでも同じでロープが引っかかります。
話は戻ってATCって操作が楽なだけでデメリットの方が多いので、なぜATCをメインで使っている人がブレーキアシスト付きデバイスを使わないのかが疑問。
ある人に聞いたら、覚えるのが大変そうだから・・・という言葉。
この人、ジムで友達を(ATCでロープが流れてしまって)グランドさせているのにも関わらずです。
ただ自分でも覚えないといけないということは自覚しているようです。
こんなこともあって今回のブログの記事にしてみました。
ATC
メリット
①操作が簡単(ロープが出しやすい)
②クライマーがフォールした時にガツンと止まらない(流しやすい)
デメリット
①ロープが流れたら、まず止めれない
②制動側の手が何かの拍子に離れてしまったら・・・クライマーは墜落
③フォールしたクライマーを上まであげるのが大変(ビレイヤーも、クライマーもめちゃくちゃ大変でそれだけで疲れてしまう)
④①~③のこともあり、ビレイヤー、クライマーの精神的な疲労もありそう(これは私的な感想)
特に体重差がある場合は、ATCだとクライマーもビレイヤーも本当に疲れると思う
ブレーキアシスト付きデバイスのデメリットと言えば、覚えるのが少し大変。
特にロープの送り出しでロープがでなくて・・・ということがある。
例えばクリックアップでは操作を間違ると、すぐにロックしてしまい、それを解除するのに時間がかかり、クライマーがクリップするのに時間がかかったりする。
グリグリでも同様でロープがスタックするときがある。
ATCパイロットはATCとは違った操作になるので慣れないまではロープが出しにくい。
ただし、ロープスタックについてはロープの送り出しに慣れてしまえば良くて、メリットを享受する方がめちゃくちゃ大事な気がする。
ブレーキアシスト付きデバイス
メリット
①ちゃんとした使い方をすれば、クライマーがグランドすることはまずない
②フォールしたクライマーを上にあげるのが楽
③クライマーがセルフを取らなくても、制動側の手に力を込めなくてロックされているのでビレイヤーは楽
※NG行為だけどロックされた状態であれば、制動側の手を放してもロープは流れない
デメリット
①覚えるのが少し大変(慣れるまでに時間がかかる)
②ちゃんとした操作方法を覚えないとロープが出なかったりする(クリックアップだとロックしてしまう)
※グリグリは推奨された持ち方で操作をしないとグランドの危険性あり!下の追記2を参照。
③クライマーのフォールの流すというのが少しだけ難しくてガツンと止めちゃいがちになる
※グリグリもクリックアップ、ATCパイロットも、フォールして衝撃が掛かるときに自分がジャンプすれば、流れるので流すということも可能だし、クリックアップの場合は慣れたらロックするタイミングを制御できます。
※クライマーが重たい場合は、だいたいがビレイヤーが上に引っ張られて自然に流れることになります
④ロープとの相性があり(例えばP2のTRのロープなんかは最悪で滑りが悪いと、めちゃくちゃ疲れる)
グリグリとクリックアップ、ATCパイロットを使ってみましたが、ロープとの相性がとても重要な気がしました。
今回はマムートの9.9ミリのドライ加工されたWorkhorseという新しめのロープを使ってみたけど、どのデバイスもロープが出にくい・・。
一番ダメだったのはグリグリ。
クリックアップ系は、どちらも同様な操作感。
ATCパイロットが一番、出やすかった。
※使い古した少し径が細いロープの方が断然にロープの出は良かったです。
なのでロープの古い、新しいはあまり関係なくロープの径が関係するのかな?
それとも加工の有無でも変わってくるのかもしれません。
個人的にはATCからの移行が簡単にできるクリックアップがお勧めだけど、最近だと輸入代理店のイワタニプリスムが取り扱いをやめたため、+しか買えないみたい。
(海外通販では買えます!)
クリックアップとクリックアップ+だと、使用感(ロープセット、ロック解除)はクリックアップの方がよりスムーズです。
ロワーダウンさせるときはどのデバイスもあまり変わらないかな?
レバーが付いているので分かりやすいのはグリグリかな?ぐらい。
結論
ATCよりクライマー、ビレイヤーが安心して登ることができるブレーキアシスト付きデバイスを使って欲しいと個人的には思います。
また初めてクライミングをする初心者にもATCからではなく、いきなりグリグリやクリックアップから教えるのもありだと思っています。
※クリックアップでロープを送り出す時に頻繁にロックしてしまう人※
最近、クリックアップ+を購入した友達がロープを送り出す時に頻繁にロックしていたので、なんでかな?と手元を見てみたら原因が分かりました。
右利きの場合、左手でロープを送り出すのだけど、制動側の右手もロープをしっかりと掴んで送り出しをしていました。
そうするとロックしますね😱
右手は常に下にある状態でロープをふんわり持ちます(親指と他の指で輪っかを作った状態)。
その状態で左手だけでロープを送り出しします。右手のロープは輪っかの中をスルーさせます。
これでロックはしません。
(右手のロープは、送り出し以外の時は、ちゃんと握っておきます)
そしてクライマーがクリップする時、送り出した左手は上にずっと放置しておくのではなく、すぐにビレイデバイス付近に持ってきます。
こうすることで、あと少しロープを出したい時にすぐに出せます。
なので手の基本ポジションは、クライマーが登っている時、クリップする時にかかわらず、左手はビレイデバイス付近のロープを、右手はビレイデバイスの下の状態です。
クライマーがレストしていたりするときは、左手はビレイデバイスを持っている時もあります。
追記
グリグリやクリックアップなどのブレーキアシスト付きデバイスはマルチのセカンドビレイには使えないというのも見かけますが、確かにハーフロープの場合は、アルパインアップやメガジュルなどを使わないとダメですが、シングルロープの場合は、セカンドビレイはできます。
懸垂下降も少しだけシステムが複雑になりますが、グリグリやクリックアップなどで出来ます。
追記2
グリグリでも正しい持ち方をせずに扱うと、大変に危険です。
左手でグリグリ本体を握りこんで、右手でロープを繰り出すという持ち方。
クライマーがフォールをすると咄嗟に手は握ってしまうので、グリグリ本体を握ってしまって制動がかからずグランド・・・です。
⬇Youtubeに動画があがっていました⬇
またロープとの相性があり、制動が効かなくてグランドということも過去にはあったようです。
こちらの記事にありました。
ロープとの相性でロープが出にくいというのはありますが、制動が効かないというのもありうるみたいですね・・・。
この場合は、セットしたときにロックが効くかどうかを確かめた方が良いですね!
ジムで2回グラウンドフォールしているので人間は信用していません。一回は軟着陸、一回は8mからしっかりフォール。大怪我はなし。
医療もヒューマンエラーをどうシステム、デバイスで防ぐかが鍵です。
なのでDMMのビレイマスターとかはすごく美しいデバイスです。人間よりもグリグリ!
海外でATCでビレイしている人なんて8年前の時点から見ないですね。
TKDがグランドしてるのか・・・当事者ならではの説得力。
8メートルからで大怪我なくて良かったね。
岩場だと下地が悪い場合が多いからより危険が増すね。
そうそう、ヒューマンエラー!それが大事故に繋がるからね、ATC・・・。
使っている人がいまだに『多い』ことが不思議なんだよね。
DMMのデバイスはどれも美しいよね~。高いけど。
今回は、グリグリとセット販売していた『Smart HMS 2.0 Screwgate Carabiner』を。
そうそう海外だとATCだとビレイさせてくれないぐらいグリグリ等が浸透しているよね。
日本ではなんで浸透してないんだろうか。。。
今更ですが
①パンプの昔の事故でグリグリ禁止→ブレーキアシストは過信してしまうから危険!という思い込み。
②やっぱりATCでちゃんとできて一人前だから!といってブレーキアシストを教えない文化。
ATCは危険だという認識を持ったほうがいい。まじで。1ミスで人が死ぬわけだから。
ロープ流すとか衝撃をとかはその先の高次元なお話。
パイロットとかメガジュルとかがもっと普及していい気がするな。
グリグリの場合、間違った持ち方をすると、握ってしまって、とまらずフォール・・・
パン2では、ビレイ講習(有償)では教える時間が足りないからATCだね。
別途、グリグリ講習なるものもあるとのこと。
そうなんだよね、確かにグリグリの握っちゃってのは論外としても、1ミスで死ねるATC・・・。
グリグリ、クリックアップ、パイロットの1ミスって、ロープが出ないぐらいしかイメージがない。
昨日も、パン2の人と話をしていたのだけど、うまいビレイって何ですか?と聞いたら、クライマーを落とさないこと、ちゃんとロワーダウンさせることと言っていて、ビビった。そんなことは最低限のことなのに。
メガジュルとかはあまり見ないねー
パイロットとスマートはたまにいる。パイロット、スマートも少し癖があるけど、良いツールだと思う。
パン2での普及率、ざっと見ると・・・ATC>クリックアップ>グリグリ>パイロット>スマート>メガジュル
こんなイメージ。
一概には言いきれない気がするブレーキ付きは咄嗟の時握って離せなくなってグランドatcは離しちゃうとグランド結局ビレイヤーの技術とか命を預かるっていう意識の高さが問題なのかなと
コメントありがとうございます。
ビレイやーの負担を減らすことやヒューマンエラーを少なくする意味ではブレーキアシストはありかと思います。
ブレーキ付きで咄嗟の時に握るのは・・・それは間違った持ち方&使い方なので、正しい持ち方使い方をすればATCよりは断然安全かなと。
この間違った持ち方をしてグランド寸前になった知り合いのクライマーがいました・・・まさか間違った持ち方をしているとは思わなかったですけどね(知り合いに教えて貰った持ち方だったらしいですが)